ニキビ治療-美容コラム

COLUMN

ニキビ治療に「イソトレチノイン」という選択肢

2025.05.13

皆さん、こんにちは。
今回は、当院で新たに導入したニキビ治療薬「イソトレチノイン」について解説します。

保険診療の治療ではなかなか治らないニキビや、
一度治っても繰り返してしまうニキビにお困りの方はぜひ最後まで読んでみてください。

 

イソトレチノインとは

イソトレチノインとは、ビタミンA誘導体に分類されるお薬で、主に重度の尋常性ざ瘡(重症ニキビ)の治療に用いられます。

ニキビは単なるできものではなく、重度のものだと日常生活にも大きな影響を与えうる皮膚疾患です。心理的なストレスであったり、対人関係の不安など、常にこうした悩み共に生活している人は少なくありません。

イソトレチノインは、抗生物質や外用薬、ピーリングといった手段を尽くしてもニキビが改善しない場合に「最後の切り札」として使用されます。

効果

イソトレチノインは主に以下のような効果があります。

1.皮脂の分泌を抑制する

ニキビができる原因として、過剰な皮脂分泌があります。
イソトレチノインは皮脂腺そのものを小さく退縮させるため、皮脂の分泌を減らす効果が期待できます。

2.毛穴の詰まりの正常化

ニキビは、毛穴が詰まって塞がってしまう“角化異常”も原因の一つにあげられます。
イソトレチノインは皮膚に働きかけ、角化を正常に整える働きが期待できます。

3.アクネ菌の増殖の抑制

皮脂が減ることで、ニキビの原因菌である“アクネ菌”の増殖を抑えることができます。

4.ニキビ跡の予防効果

重症のニキビの場合、炎症が落ち着いた後にニキビ跡としてお肌に残ってしまうことがあります。ニキビ跡にならないようにするためには、早期の治療と予防が重要になります。
イソトレチノインを内服することでニキビができにくい肌へと導くことができるので、ニキビ跡を予防する効果も期待できます。

 

飲み方と治療スケジュール

基本的に1日1回食後に内服し、6ヶ月間内服を継続します。

イソトレチノインを内服する用量は、効果の程度や体重などよって異なります。
まずは少ない量から内服を開始し、効果や副作用の程度に応じて、量を増やしたり減らしたりします。

内服するときに覚えておきたいこと

1.効果が現れるのはだいたい1ヶ月を過ぎてから

重症ニキビに対して効果を実感できるまで、おおよそ1ヶ月以上かかります。
すぐに効果が出ないからといって、内服を中止したりしないようにしましょう。

2.最初の数週間で一時的にニキビが悪化することがある

イソトレチノインの内服を始めて最初の1〜2週間で、ニキビが増えたり悪化する症状がでることがあります。これは「好転反応」といって、皮膚のターンオーバーが促進され皮脂や角質が表面に出てくることによって起こります。

好転反応は一時的なことがほとんどなので、1ヶ月後には徐々に落ち着いてくるので、自己中断せずに治療を継続するようにしましょう。

3.飲み忘れた場合は、そのままスキップする

内服を一度忘れた場合、次回に2回分内服しないようにしましょう。
飲み忘れた場合はそのままスキップし、次回からまた通常の内服量で再開してください。

 

気をつけるべき副作用、併用薬

イソトレチノインは非常に効果的なお薬ですが、そのぶん副作用にも細心の注意が必要です。
特に注意すべき副作用は、胎児の催奇形性皮膚と粘膜の乾燥です。

胎児の催奇形性

よく知られている副作用として胎児の催奇形性(奇形、流産、早産)があります。
妊娠中に服用すると、約20~35%という高い確率で胎児の先天異常を引き誇す可能性があるとの報告もあります。
したがって、妊娠の予定がある方は治療開始前1ヶ月、治療中、治療終了後1ヶ月は避妊する必要があります。

皮膚と粘膜の乾燥

内服中にほぼ必ず起こる副作用が皮膚や粘膜の乾燥症状です。
皮脂の分泌を抑制する作用があるため、唇が乾燥したり、口回りの乾燥・皮むけ、鼻出血が起こりやすくなります。
乾燥が気になるときはワセリンやローションなどの保湿剤を使用してください。

その他の副作用

稀ではありますが、肝機能障害や腎機能障害、脂質異常、関節痛や筋肉痛、頭痛、脱毛などの症状が報告されています。また、うつ病といった精神疾患との関連も示唆されていましたが、現在まで因果関係ははっきりとしていません。いずれの症状も内服を減量または中止することで症状は改善します。

併用を避ける薬

テトラサイクリン系の抗生物質は頭蓋内圧を亢進させるため、頭痛の副作用が出やすくなることがあります。またビタミンAの内服薬を使用している際は、ビタミンAの過剰症が起こりやすくなります。

 

当院での治療方法

当院ではまず、1日20mgから処方を開始し、その後治療の効果をみながら適宜内服量を調整していきます。

また、治療開始前と治療開始1ヶ月後に血液検査を行い、異常な数値が現れていないか確認しています。その他にも、内服する量を増やしたときも適宜血液検査をおこなっています。血液検査で異常な数値が見つかった場合は、治療を中止する場合もあります。

症状にもよりますが、まずは6ヶ月間内服を継続していただき、治療を終了するか継続するか判断します。ほとんどの患者さまは6ヶ月で効果を感じますが、治療効果には個人差があるため延長することもあります。

イソトレチノインを服用できない方

妊娠の可能性がある方、妊娠中の方、授乳中の方は内服することができません。
また12歳未満の小児の方も服用できません。

もともと精神疾患をお持ちの方、肝臓や腎臓の機能に異常がある方、ステロイド薬やテトラサイクリン系の抗生剤を服用している方は一度医師に相談してください。

 

重症ニキビでお悩みの方はみどりBEAUTY CLINICへ

ニキビは単なるできものではなく、日常生活にも大きな影響を及ぼす皮膚疾患です。
早期の治療と予防を行うことで、ニキビ跡も防ぐことができます。

ニキビに対しては保険診療での治療がまず優先ですが、
「保険の治療でも治らない」、「一度治っても繰り返しニキビができてしまう」といったお悩みを抱えている方は、一度イソトレチノインの内服を検討してみるのもいいでしょう。

ただし、使用するには注意が必要なお薬なので、必ず医師に相談のうえ治療を開始するようにしてください。

当院では、イソトレチノインの治療において必ず診察を行い、血液検査などでその後のフォローも行うようにしています。
気になる方は是非カウンセリングだけでもお越しください。
お待ちしております。

 

アクネトレントについて

未承認医薬品等

アクネトレント(イソトレチノイン)は医薬品医療機器等法上、国内で未承認です。

入手経路等

当院医師の判断の元、PRSS. Japan株式会社より個人輸入しています。

国内の承認医薬品等の有無

同一の成分や性能を有する他の国内承認医薬品等はありません。

諸外国における安全性等に関する情報

米国FDA(食品医薬品局)など諸外国で承認されています。
万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。

記事監修者プロフィール

小西邦彦 院長 小西邦彦 / 院長

経歴

2017年3月 和歌山県立医科大学 医学部 医学科 卒業
2017年4月 社会医療法人生長会 ベルランド総合病院にて初期研修
2019年4月 大阪大学医学部 形成外科 入局
2023年6月 大阪府内美容皮膚科で勤務
2024年3月 みどり BEAUTY CLINIC 開院

所属学会

  • 日本形成外科学会
  • ジュビダームビスタ認定医
  • ボトックスビスタ認定医